雑想雑記 【最新の一年】

2022令和4.6.9日再開

 

 

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🔴「塔」令和6年3月号

老いて子にあらかた従ふ妻となり相談されるは稀となりたり

「服装と道具が仕事をするんだ」と建設現場の朝礼聞こゆ

通販カタログかさばる年末配達も今年が最後機嫌良く配らむ

道端のイタチの骸夕立に溢れる溝を流されてゆく

野天湯の入口「すべる・ご注意」の札立ててある傾いてゐる

2月18日

[歌壇」3月号の 駅の歌 を見ていて、久しぶりに電車に乗ってみたくなった。どこへ行くにも車で

久しく電車に乗っていない。60年前の仕事は電車乗りだったんだ。

【塔】2024令和6年2月号

あとの迷惑考へず転職してゆくと陰口かしましき正社員たち

なくなる仕事と知れば直ちに次の職をさがすは当然の行為なるべし

メール配達なくなりし後なにするかと声かけられる配達の道

餞別だよ地植ゑにしなよと抜きくれしツワブキ前籠に配達忙し

配達するたび「ありがたう」と声くれる少女の家庭は円満ならむ

朝の散歩橋の向かうは明日行かむ明日も晴れる予報であれば

2023年9月号

黄砂降る生あたたかき輪中の村今年新たな鯉のぼり泳ぐ

水屋開け木舟検べる茣蓙を干す輪中の村に梅雨入りせまる

水屋にて命を守りし祖たちの遺影は並ぶ水屋の梁に

マスクを二枚重ねよと上司に気遣はれ黄砂の町へ配達に発つ

正しき敬語でゆっくり話す若き君机にいつも広辞苑がある

わが家の外壁白く塗りかへて心あかるく日々を過ごさむ

【塔】 R58月号 

電子カルテが書けず廃業するといふ君に最後の診察を受く

雨に濡れしメールにお詫びを書いて貼るシールも雨に書く文字滲む

郵便配る君を追越し追ひ越され配達帰りは並んで走る

郵便配る君の非正規を嘆く声聞きつつ川原にひととき休む

校庭にサッカーボール唯ひとつ忘れられゐて寒き夕暮れ

戦中に産まれて勲と付けられし名前の馴染まぬ世を生きたりき

塔  2023  R5 / 5月号

朝々に読経の声の漏れ聞こゆ連れあひ亡くしし友ひとり住む

送迎車到着ラッシュのデイケア館配達バイク近寄りがたし

左へ左へ街角曲る配り方早くて疲れの少ない配り方

軽々とバイクあやつり配達す声明るくして挨拶交はして

お磨き奉仕を終へし門徒ら寺庭の銀杏拾ふ譲りあひ拾ふ

朝焼けに川霧染まる揖斐河口蜆舟の鋤簾曳く音

2023R5 / 4月号 

右ひだり蛇行しバイクの跡のこし配達する街初雪降る街

待てば雪やむか濡れて出かけむか再配指定の時間が迫る

配達量トップを続けて八十歳このごろ三位を超える月なし

ひと村を配り終へて次に行く山裾の村に雷雲迫る

ウクライナの砲撃されし街映る青きポストも壊れて映る

ミサイルは白雲曳きて飛ぶといふその雲見ぬまま一生終へた

荷積みを待ち運転台でゲラを読み編みたる歌誌もいまに続かず

 

 

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